カウンセリング体験記3

今回は、カウンセリングの料金についての話なんだけれど、10数年前の文章なので、相場の金額が今はどうなっているのかはわからない。金額はさておき、「カウンセリングの料金」についての経験と考えが書いてあるので、基本的にそのまま引用する。

vol.4 <カウンセリングのお値段>
カウンセリングを受けるには、一般にお金がかかります。カウンセリングを受ける人がお金を払わなくていいのは、学生や生徒が通ってる学校のスクールカウンセラーのカウンセリングを受ける場合や、企業が雇っているカウンセラーにそこの従業員がカウンセリングを受ける場合、それから公立の相談機関などで受ける場合等でしょう。
私は、一般のカウンセリングルームでカウンセリングを受けたので、料金がかかりました。カウンセリングの料金というのは受ける機関によってかなり幅があるようですが、私の行った所は1回(50分くらい)七千円で、まあまあ標準的な所だったと思います。ただ、学生さんとかでどうしてもそれだけの金額が払えない、という人には、話し合いをした上で「払える金額でいいよ」ということもあるようですが。ちなみに私の場合、カウンセラーのJ先生とはもともと知り合いだったもので「友達割引」をしてもらって1回五千円でした。
割引をしてもらったとしても五千円、親と同居している独身の教員だったとはいえ、週に1回ずつ通えば月に二万円ですから、大きな出費です。それでもせっせと通っていたというのは、自分にとってカウンセリングがそれだけの価値のあるものだったからです。一般にカウンセラーの間では、「カウンセリングをする場合、お金を取るべきだ」ということが言われるらしいです。それは、お金を取る以上カウンセラーの側もいい加減には関われないし、クライアントも「お金を払っているのだから」と真剣になるからだそうです。
私がそのことを実感する出来事がありました。
カウンセリングを受け始めて、2・3ヶ月経った頃だったでしょうか。いつもはカウンセリングに行くと、まずこの一週間の出来事や感じていることなどを話し、その後、絵を描いたりコラージュをしたりの絵画療法をしていました。その日はたまたま話したいことがたくさんあって、絵を描かないまま終了時間になってしまいました。J先生は、
「今日は絵を描かなかったけれど、まあ、こういう日があってもいいですよね」
と言って、その日は終了になりました。カウンセリングルームを出て駅まで向かう道すがら、私はとても後悔しました。
「絵を描かないで終わってしまった。それでも五千円。すごく損した気分だなぁ」
と。そして、次の時は、真っ先に「毎回必ず絵を描きたい」とJ先生に言おうと心に決めました。その時の私にとっては、絵画療法がとても必要なものなのだということに気がついたのです。もし、これが無料で受けられるカウンセリング、あるいは料金を払ったとしても千円程度だったとしたら、J先生の言ったように「こういう日があってもいいか」くらいに思って、カウンセリングの内容については何も感じなかったのではないでしょうか。
普通、クライアントは「今日のカウンセリングの内容は自分のニーズにあっていたか?」とか「自分にとって最も効果的なカウンセリングの方法は何か?」なんてことを、意識して考えたりはしません。でも、無意識のうちにカウンセリングを評価してはいて、お金がかかることでその評価を意識に上らせることになるのだと思います。
この「意識」と「無意識」は、カウンセリングを受けた私の成果を振り返る上で、キーワードです。このことも、いずれ書く予定です。